墓じまいをしないとどうなる?放置したお墓に起きること

墓じまいを検討するとき、多くの人がまず知りたいのは「やらなかった場合はどうなるのか」だと思います。

費用も手間もかかる以上、そのまま置いておくという選択肢を考えるのは自然なことです。

先に書いておくと、墓じまいをしなければならないという法的な義務はありません。

管理を続けられるなら、続けて構わない。この記事は墓じまいを勧めるためのものではなく、放置した場合に何が起きるのかを事実として整理するためのものです。

そのうえで判断していただければと思います。

目次

管理費を払い続けている限り、すぐに何かが起きるわけではない

まず区別しておきたいのが、「お参りに行けていない」状態と「管理費を払っていない」状態は、まったく別だということです。

何年もお参りに行けていなくても、管理費を納めていれば、墓地の側から見れば正常に使用されているお墓です。すぐに撤去されるようなことはありません。

掃除が行き届かず荒れていくという問題はありますが、権利としては維持されています。

問題が生じるのは、管理費の支払いが止まったときです。

そして、家族の中で誰が払っているかを把握していない場合、支払いが止まっていることに気づかないまま時間が過ぎることがあります。

管理費の滞納が続くと、最終的に無縁墓として処理される

管理費の滞納が続いたお墓は、法律に定められた手続きを経て、無縁墳墓として処理されることになります。

流れはこうです。

流れ
縁故者の調査

墓地の管理者は、墓地使用者や埋葬されている方の縁故者を調査し、判明した人には連絡を取ります。

流れ
官報と立札による公告

縁故者が見つからない場合、官報に掲載し、あわせてお墓の見やすい場所に立札を立てて、一年以内に申し出るよう公告します。

流れ
改葬許可の取得と撤去

一年間申し出がなければ、管理者は市区町村長から改葬許可を受けたうえで、墓石を撤去し、遺骨を合祀墓などへ移すことができます。

どのくらい滞納すると手続きに入るかは、墓地によって異なります。数年程度が目安とされることが多いですが、規約によるため一律ではありません。

ここで押さえておきたいのは、この手続きが始まっても、連絡が取れれば止められるという点です。

公告の期間内に申し出れば、通常どおり話し合いができます。突然お墓がなくなるという性質のものではありません。

問題は、連絡先が変わっていたり、そもそも家族が墓の存在を把握していなかったりして、公告に気づかないケースです。

撤去されると、遺骨は合祀される

無縁墓として処理された場合、遺骨は合祀墓に納められます。骨壺から出して、他の方の遺骨と一緒に納める形です。

ここが重要なのですが、一度合祀されると、特定の遺骨だけを取り出すことはできません。

つまり、後から「やはり祖父の遺骨だけは手元に置きたい」「樹木葬に移したい」と思っても、選択肢が残らないということになります。

自分で墓じまいをすれば、遺骨ごとに扱いを選べます。放置した結果として処理された場合には、その選択権がなくなる。

これが、放置と墓じまいの最も大きな違いだと思います。費用の問題ではなく、選択肢が残るかどうかの問題です。

滞納していなくても、時間の経過で難しくなること

管理費を払い続けている場合でも、先送りによって手続きの難易度は上がっていきます。

名義人が分からなくなる

墓地の使用権には名義人があり、手続きは名義人か承継者が行います。名義人が亡くなったまま承継の届出をしていないと、まず名義を整理するところから始めることになり、承継者を証明するために戸籍を集める作業が発生します。

誰が納められているのか分からなくなる

改葬許可の申請では、埋葬されている方の氏名や埋葬時期を記入します。事情を知る世代がいなくなると、これを調べるところから始めなければなりません。

寺との関係がゼロからになる

それまで先代が続けてきた付き合いを引き継がないまま、いきなり墓じまいの話を持ちかけることになります。事情を知る人が間に立ってくれる場合と比べれば、進めにくくなります。

現地で動ける人がいなくなる

墓じまいの手続きは、墓のある場所を軸に進みます。実家に親族が住んでいるうちなら、その人が動けば済むことも、全員がいなくなれば遠方から何度も足を運ぶことになります。

費用の分担を相談できる相手が減る

関わる親族が少なくなるほど、一人あたりの負担は増えます。

いずれも、放置していたことへのペナルティではありません。ただ、時間が経つほど手続きのコストが上がるという構造は知っておいたほうがよいと思います。

それでも、急いで決める必要はない

ここまで読むと、早く墓じまいをしなければと感じるかもしれません。

ただ、墓じまいは急いで決めるものではないというのも、同じくらい大事なことだと思っています。

一度墓じまいをすれば、元に戻すことはできません。

合祀を選べば遺骨は取り出せなくなります。家族の中に迷っている人がいるなら、その気持ちが整理されるのを待つ時間は必要です。

管理費を払い続ける余裕があるなら、それ自体は何も間違っていません。判断を先送りにすることと、放置して連絡が取れなくなることは、別のことです。

いま確認しておくと、選択肢が残ること

墓じまいをするかどうかを決めていない段階でも、確認しておく価値があるのは次の点です。

管理費を誰が払っているか

これが分かっていないと、支払いが止まったことに誰も気づけません。名義人の連絡先が古いままになっていないかも、あわせて確認しておきたいところです。

名義人が誰になっているか

亡くなった方の名義のままなら、承継の手続きが済んでいるか確認してください。これは墓じまいをする場合もしない場合も必要になります。

誰が納められているか

事情を知る親族がいるうちに聞いておく。記録が残っていないと、後で調べようがなくなります。

墓地の規約を確認する

管理費の滞納が何年続くとどうなるか、規約に書かれていることがあります。

このあたりを把握しておけば、いつ判断するにしても動けます。

逆に、これが分からない状態で時間だけが過ぎるのが、いちばん選択肢を狭めます。

我が家の場合

うちの場合、話が動き出したきっかけは、お墓の管理を当たり前のようにやってきた祖父母の世代がいなくなったことでした。

それまでは誰も考える必要がなかった。掃除も、管理費の支払いも、寺との付き合いも、全部その世代が処理してくれていたわけです。

正直に書くと、私はもう二十年近くお墓参りをしていません。正確な場所も把握していない状態です。管理費を誰がどう払っているのかも、はっきりとは知りませんでした。

放置しているつもりはなかったのですが、実際には把握していないことばかりだった、というのが本当のところです。

いま墓じまいの話が具体的に進んでいるかというと、そうでもありません。決めなければならないことが残っていて、止まっています。

ただ、現地に動ける親族がいるうちに話をしているという点だけは、結果的に良かったのだろうと思っています。

墓じまいをしないという選択は、それ自体が間違っているわけではありません。管理を続けられるなら続けていい。

ただ、放置と先送りは違います。管理費の支払いと連絡先だけは把握しておく。

それだけで、判断を先延ばしにしても選択肢は残ります。

なお、無縁墳墓の手続きや期間の扱いは墓地によって異なり、規約にも左右されます。個別の状況については、墓地の管理者に直接ご確認ください。

この記事を書いた人

東京在住。両親の実家がそれぞれ九州と中国地方にあり、二か所のお墓をどうするかという問題に、いま家族として直面しています。専門家ではなく、当事者としてゼロから調べ、家族と話し合いながら進めている過程を記録しています。制度や手続きについては公的機関の情報を確認したうえで掲載していますが、詳細は必ずお住まいの自治体でご確認ください。

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