墓じまいで遺骨が何柱もある場合の費用|先祖代々の墓は総額がどう変わるか

墓じまいの費用を調べると、総額20万円から30万円程度という数字をよく見かけます。ただ、これは遺骨が一柱か二柱の、比較的シンプルなケースを前提にした金額。

そのため、先祖代々続いてきたお墓の場合、話が変わります。

祖父母だけでなく、その親、さらにその上の世代まで納められていることがある。数えてみたら六柱、八柱、場合によってはそれ以上ということも珍しくありません。

このとき費用がどう変わるのか。

結論から言えば、墓を撤去する費用はほとんど変わらず、遺骨の移転先にかかる費用だけが柱数に比例して増えます。

ここを分けて理解しておかないと、見積もりを見たときに何が起きているのか分からなくなります。

この記事では、遺骨が複数ある場合に費用がどう積み上がるのか、そして総額を抑えるためにどんな組み合わせ方があるのかを整理します。

目次

柱数で増える費用と、増えない費用

墓じまいの費用は、大きく二つに分かれます。

墓を閉じるための費用は、遺骨の数にほとんど影響を受けません。

墓石の撤去工事は区画の面積と墓石の大きさで決まりますし、閉眼供養のお布施も、遺骨が二柱でも八柱でも大きくは変わらないのが一般的です。離檀料についても同様です。

一方、遺骨の移転先にかかる費用は、柱数がそのまま効いてきます。永代供養の料金は、お墓のように一区画いくらではなく、一柱いくらという料金体系が基本だからです。

つまり、遺骨が多いお墓ほど、総額に占める「移転先の費用」の比率が高くなる。費用を抑えたいなら、撤去工事の見積もりを削るより、移転先の組み立てを考えるほうがはるかに効果が大きいということになります。

一柱あたりの費用は、供養の形で大きく変わる

移転先の費用は、どのタイプを選ぶかで幅があります。

合祀(ごうし)は、他の方の遺骨と一緒に納める形式です。

一柱あたり数万円から十数万円程度が目安で、最も費用を抑えられます。ただし一度合祀すると、後から特定の遺骨だけを取り出すことはできません。

集合型は、共通の施設内に個別の納骨スペースを持つ形式です。一柱あたり十数万円から数十万円程度。一定期間が過ぎると合祀に移されるプランが一般的です。

個別型(単独墓)は、家族単位で専用のスペースを設ける形式で、数十万円から百万円を超えるものまであります。

樹木葬も個別・集合・合祀とタイプが分かれており、それぞれ価格帯が異なります。

海洋散骨は、お墓に納めるのではなく遺骨を粉末状にして海に撒く方法です。代行してもらう形式であれば比較的費用を抑えられます。

手元供養は、小さな骨壺やペンダントなどで手元に置いておく方法です。

金額はいずれも地域や施設によって大きく異なるため、必ず個別に確認してください。ここで押さえておきたいのは絶対額よりも、形式によって一柱あたりの単価が数万円から数十万円まで開くという点です。

柱数が多いほど、この差が総額に大きく響きます。

現実的な組み立て方は「全部同じにしない」

遺骨が八柱あるとして、すべてを個別型の永代供養にすれば費用は相当な額になります。かといって、すべてを合祀にすることに家族が納得できるとも限りません。

そこで実際によく取られるのが、遺骨ごとに違う扱いをするという方法です。

たとえば、直接の記憶がある祖父母の遺骨は個別または集合型にして、それより前の世代は合祀にする。あるいは、両親の遺骨だけ手元供養として残し、他は合祀に納める。

こうした組み合わせであれば、費用を抑えながら、家族の気持ちの面でも折り合いをつけやすくなります。

判断の目安になるのは、その人を知っている家族がいるかどうかです。

顔を覚えている、一緒に暮らした記憶がある、という遺骨と、名前でしか知らない何代も前の遺骨とでは、家族が抱く感覚が違います。

ここに線を引くのは冷たいことのようですが、費用にも気持ちにも限りがある以上、どこかで区切りをつける必要があります。

ただし、この線引きは必ず家族で話し合ってから決めてください。

誰を個別にして誰を合祀にするかという判断は、後から蒸し返されやすい部分です。特に合祀は取り消せないので、独断で進めると関係に禍根を残します。

見落とされがちな追加費用

柱数が多い場合、移転先の費用以外にも発生しやすい項目があります。

改葬許可申請の手間と手数料

自治体によっては遺骨一体につき一枚の申請書が必要です。手数料が有料の自治体であれば、その分だけ費用も増えます。それ以上に負担が大きいのは、それぞれについて氏名や埋葬時期を記入する作業のほうです。

粉骨の費用

骨壺のまま納められない移転先もあります。合祀墓や樹木葬、散骨では、遺骨を粉末状にする粉骨が必要になることがあり、これは一柱ごとに費用がかかります。

骨壺の処分

取り出した後の骨壺をどうするかも、柱数が多いと無視できません。石材店に依頼できることが多いので、見積もりの段階で確認しておくとよいでしょう。

遺骨の運搬

移転先が遠方の場合、何柱もの骨壺を運ぶ手段を考える必要があります。骨壺は想像より重く、数が多ければ車がないと現実的ではありません。

開けてみないと分からないこともある

もう一つ、費用の見通しを立てにくくする要素があります。カロートを開けるまで、実際に何柱納められているか分からないことがあるという点です。

古いお墓では、記録が残っていなかったり、家族が把握していない遺骨が納められていたりします。想定より多かった場合、その分の改葬許可を追加で申請する必要があり、移転先の費用も増えます。

逆のケースもあります。遺骨が骨壺に入っておらず、土に還っている場合です。

カロートの底が土になっている古い形式のお墓や、土葬されていた場合に起こります。この場合、遺骨の代わりに周辺の土を集めて移すという扱いをすることがあります。

なお、遺骨が土に還るには非常に長い年数がかかり、骨壺に納められた状態であればほとんど還りません。「古いから土になっているだろう」という前提は当てにしないほうがよいでしょう。

いずれにしても、開けてみるまで確定しないという前提で、見積もりには余裕を持っておくことをおすすめします。石材店に依頼する際も、遺骨の数が想定と違った場合に費用がどう変わるのかを、あらかじめ確認しておくと安心です。

我が家の場合

母方のお墓には、祖父の親の代まで遺骨が納められています。正確に何柱あるのかは、実のところ誰も把握していません。

一方、父方のお墓は事情が違います。原爆の影響で、お墓はあるものの遺骨はほとんど納められていない。実質的には祖父母の分だけだったと記憶しています。

同じ「先祖代々の墓」でも、二つでこれだけ違う。柱数の話は、実際に確認してみないと本当に分からないものだと感じています。

母方については、すべてを個別に永代供養すると費用が相当な額になるため、古い世代は合祀にして、直近の何柱かは別の形にする、という方向で考えることになりそうです。

ただ、これを誰がどう決めるのかという話は、まだ手つかずのままです。

こうした判断は、費用計算だけで決められるものではありません。だからこそ、家族が集まる機会に少しずつ話しておく必要があるのだと思います。

まずやっておきたいこと

遺骨の数がはっきりしないうちは、費用の見積もりも立てられません。次の順番で進めるのが現実的です。

何柱あるかを、分かる範囲で確認する

過去帳や墓誌に記録が残っていることがあります。事情を知る親族がいるなら、いま聞いておいてください。この情報は改葬許可の申請でも必要になります。

移転先の候補を、複数の価格帯で調べる

合祀のみの場合、すべて個別にした場合、組み合わせた場合。この三つで概算を出しておくと、家族で話し合うときの材料になります。資料請求をして手元に情報を揃えておくと、比較がしやすくなります。

石材店に、柱数の変動を踏まえた見積もりを依頼する

想定より多かった場合にどうなるかまで確認しておくと、後で慌てずに済みます。

墓じまいをまとめて請け負う事業者であれば、撤去工事と移転先の手配を一緒に相談できます。柱数が多い場合、それぞれを別に手配すると連絡先が増えて煩雑になるため、まとめて見積もりを取ったほうが全体像を把握しやすくなります。

【ミキワの墓じまい】

墓石の撤去から改葬先の手配までワンストップで対応しており、永代供養や海洋散骨、粉骨も扱っています。遺骨の数が多い場合に、どの組み合わせでいくらになるかを相談できます。資料請求は無料です。

線引きの方針を、家族で共有しておく

どの遺骨をどう扱うか。ここを先に決めておけば、実際に動き出したときの判断が早くなります。

先祖代々のお墓の墓じまいは、費用の総額が読みにくいという点で、一柱だけのケースとは別物です。

ただ、増える部分がどこなのかが分かっていれば、対処の方向も見えてきます。撤去工事の値切りではなく、移転先の組み立てを考える。それが、柱数の多いお墓で費用をコントロールする現実的な方法です。

なお、この記事で挙げた金額はいずれも一般的な目安であり、地域や施設によって大きく異なります。実際の費用は、必ず個別に見積もりを取ってご確認ください。

この記事を書いた人

東京在住。両親の実家がそれぞれ九州と中国地方にあり、二か所のお墓をどうするかという問題に、いま家族として直面しています。専門家ではなく、当事者としてゼロから調べ、家族と話し合いながら進めている過程を記録しています。制度や手続きについては公的機関の情報を確認したうえで掲載していますが、詳細は必ずお住まいの自治体でご確認ください。

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