墓じまいの手続きの中心にあるのが、この改葬許可申請です。これがないと遺骨を動かせません。
逆に言えば、ここさえ通れば手続きの山場は越えたことになります。
ただ、調べると「必要書類は3つ」「詳しくは自治体にご確認ください」で終わっている記事が多い。

この記事では、書類を集める順番と、自分の実家の自治体がどのパターンなのかを最初に調べる方法をまとめます。
遠方に住んでいる場合、ここを先に押さえておくと無駄足を防げます。
申請先は「墓のある自治体」


まずここだけは間違えないでください。申請先は、遺骨がいま納められている場所の市区町村です。
自分の住所地でも、遺骨を移す先でもありません。
実家が九州で自分が東京なら、申請するのは九州の役所。移転先を東京の樹木葬にしても、この点は変わりません。
窓口の名前は自治体によってバラバラで、市民課、戸籍住民課、生活衛生課などいろいろです。
代表番号にかけて「改葬許可の件で」と伝えれば回してもらえます。
必要な書類は3つ、ただし呼び名がバラバラ
基本の構成はこうです。
- 改葬許可申請書:墓のある自治体の様式。多くはサイトからダウンロードできます。
- 埋蔵証明書:いまの墓に遺骨が納められていることを、墓地の管理者(寺の住職や霊園の管理事務所)に証明してもらう書類。
- 受入証明書:移転先が遺骨を受け入れることを証明する書類。移転先との契約が済んでいれば発行してもらえます。
ややこしいのが、この3つが必ず別々の紙とは限らないこと。
申請書の中に管理者の証明欄が組み込まれていて、埋蔵証明書という独立した書類が存在しない自治体もあります。
さらに、呼び名も、埋蔵証明書・埋葬証明書・納骨証明書とまちまち。
だから「埋蔵証明書をください」と寺に言っても話が通じないことがある。
自治体の様式を先に手に入れて、それを見ながら「この欄に署名をお願いします」と頼むほうが確実です。
何より先に、遺骨の数を確認する
申請書の枚数が遺骨の数で決まる自治体があります。1体につき1枚のところもあれば、1枚に複数名を書けるところもある。
先祖代々の墓だと、これが地味に効いてきます。何柱あるか分からないまま窓口に行って、枚数が足りずに出直しになるのは、遠方の人には痛い。
先に墓地の管理者に「何体納められていますか」と聞いてください。
過去帳や墓誌に記録が残っていることもあります。事情を知る親族がいるなら、そこからでも。
古い墓で埋葬者が分からない場合や、土に還っていて遺骨が確認できない場合は、「不詳」として申請できることがあります。
死亡年月日が分からないときも同様です。この扱いは自治体によるので、窓口で相談してください。
進める順番


順番を間違えると手戻りが出ます。この流れが基本です。
ここが最初です。移転先が決まらないと受入証明書が出ず、申請そのものができません。行き先が決まっていないなら、まずそこからになります。
サイトからダウンロードするか、電話して郵送してもらいます。遺骨の数を伝えれば、必要な枚数を送ってくれます。
様式を持って寺や霊園へ。ここが実質的に離檀の申し出になることもあるので、事前に連絡してから伺うのが無難です。
不備がなければ即日のこともあれば、数日から1〜2週間かかることもあります。郵送申請ならその日数も加わります。
許可証は通常、いまの墓地の管理者に見せる分と、移転先に渡す分が発行されます。
自治体差を、電話一本で確認する
ここがこの記事の本題です。「自治体によって違う」で終わらせず、何を聞けばいいかを具体的にしておきます。
墓のある自治体に電話して、この6つを聞いてください。これで必要な情報はほぼ揃います。
枚数が確定します。何柱あるかを伝えれば、その分を送ってもらえます。
遠方なら最重要です。可能なら、返信用封筒の要否と切手代も一緒に確認を。
無料の自治体が多いですが、数百円かかるところもあります。郵送の場合、定額小為替での納付を求められることがあるので、支払い方法まで聞いておくと安心です。
原則は墓地使用者本人です。別の人が申請するなら委任状や承諾書が必要になることが多い。遠方の親族が代わりに動く場合、ここは必ず確認してください。
寺に何を頼めばいいかが確定します。
閉眼供養や撤去工事の日程を組む前提になります。
この6つをメモして電話すれば、5分か10分で終わります。その結果をもとに家族と段取りを決める、という順番がいちばん無駄がない。
つまずきやすいところ
最も多い誤解です。移転先の役所ではありません。
受入証明書がないと申請できないので、行き先が決まっていない段階では前に進めません。
承継の届出をしていないと、まず名義の整理から始めることになります。戸籍を集める作業が発生することもあるので、早めに確認しておいてください。
遺骨の数を把握しないまま窓口に行くパターン。遠方だとダメージが大きい。
カロートを開けるまで正確な数が分からないことがあります。その場合は追加で申請することになるので、余裕を持ったスケジュールを。
自分でやるか、任せるか


書類自体は難しいものではありません。時間をかければ自分でできます。
ただ、遠方で、遺骨が何柱もあって、寺との関係も自分では把握していない、という条件が重なると、それなりの負担になります。
墓じまいの代行業者や行政書士に、書類部分だけ任せることもできます。
判断の目安は、現地に動ける親族がいるかどうかだと思います。
いるなら、その人に窓口対応をしてもらえば済む話です。いないなら、代行を検討する価値があります。
我が家の場合
うちは二か所とも遠方で、私自身は東京にいます。現実的に、私が申請のために九州や中国地方へ通うのは無理があります。
だから、現地にいる親族が主体になる形で考えています。この記事に書いた6つの確認事項も、結局は現地の人に動いてもらう前提での準備という位置づけです。
正直なところ、母方の墓に何柱納められているのかも、まだ把握できていません。申請書の枚数すら決まらない状態です。そこを確認するところから始めないといけない、というのが現状です。
改葬許可申請は、手続きとしては単純です。難しくしているのは、自治体ごとの違いと、遠方だと確認そのものに手間がかかること。
だからこそ、最初に電話で6つ聞く。これだけで、その後の段取りがまったく変わります。書類を集め始める前に、まずそこからやってみてください。
なお、様式や手数料、郵送の可否は変更されることがあります。実際に手続きを進める際は、必ず墓のある自治体にご確認ください。





